野原正一郎先生が能登半島地震の災害医療支援にJMAT(Japan Medical Association Team)として派遣されました。
2024.1.23
JMATは日本医師会により組織される災害医療チームです。今回、石川県医師会からの要請を受け、福岡県JMAT第2班として1月9日から現地に向かいました。私達のチームは私を含めた3名(看護師、薬剤師)で編成され、能登半島に位置する穴水町を拠点とし活動を行いました。同地区には約60箇所の避難所と介護施設に約3500名が避難されており、各チームで分担し、医療・介護ニーズの有無、またライフラインについてのサーベイランスを行いました。TVや新聞等で報道されている様に穴水・輪島市の被災状況は酷く、家屋の倒壊や道路の陥没・破損、土砂崩れ等が至るところで発生しており、迂回を繰り返しながらようやく避難所に到達出来るといった状態でした。発災から1週間以上が経過していましたが、現地では水や電気といったライフラインの復旧は進んでおらず、特に生活用水の不足は深刻で、手洗いや排泄物の処理を行うことが困難であり、衛生面の悪化は重要な問題となっていました。実際、各避難所ではインフルエンザやコロナ感染症の集団発生も観察され、今後、避難所内での感染症拡大が懸念されました。また、これから災害亜急性期〜慢性期にかけての心血管疾患や深部静脈血栓症、肺炎といった災害関連死、また被災者の精神面のケアやサポートにも努めなければなりません。そして忘れてならないのは被災地の医療従事者やスタッフの方々自身が被災者であり、そういった方々の負担や疲弊を少しでも軽減し、支えることが重要と考えます。JMATとしてはこれから数ヶ月単位での支援を行っていく予定です。
実際に被災地の現場を目の当たりにして、その過酷な状況に言葉がありませんでした。突然の自然災害とその医療支援に携わる上では、事前の準備や訓練が必要であることは言うまでもありませんが、刻一刻と変化する現地の状況に対応し、そして多くの支援団体と協力し、被災地のために活動することの大切さを再認識しました。この経験を生かして、今後も災害医療支援に継続的に関わっていければと思います。
今回、現地への派遣要請を御快諾頂いた福本教授、不在中の業務を担って頂いた先生方有難うございました。
最後に、能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。