松島慶央先生の論文が、Resuscitation Plusにアクセプトされました!
2025.2.13
[タイトル]
Mechanical chest compression increases intrathoracic hemorrhage complications in patients receiving extracorporeal cardiopulmonary resuscitation
[雑誌名]
Resuscitation Plus
[論文要旨]
現在、心肺蘇生においては絶え間ない胸骨圧迫の重要性が強調されており、機械的胸骨圧迫装置の使用頻度が増加しています。しかし、その一方で、外的圧力による骨折や臓器損傷の報告もあります。また、近年V-A ECMOを用いた体外式心肺蘇生(ECPR)は、難治性心停止患者に対する有効な治療法となっていますが、心停止後の凝固異常、体温管理、抗血栓療法に伴う出血リスクが課題となり、特に出血合併症は致死的となる可能性があります。その中でも胸腔内出血は重篤な合併症ですが、ECPR症例における機械的胸骨圧迫装置との関連は明らかになっていませんでした。
本研究では、2017年から2024年に当院救命センターでECPRを施行した症例のうち、機械的胸骨圧迫装置を使用した群と用手圧迫群を比較し、TAE(動脈塞栓術)を要する胸腔内出血の発生率を主要評価項目としました。結果、機械的胸骨圧迫群では18.8%、用手圧迫群では2.3%と、有意に機械的胸骨圧迫群での発生率が高いことが確認されました。さらにサブグループ解析では、年齢および胸郭の横径がリスク因子となることが示唆されました。これらの結果から、年齢や体格を考慮した上で機械的胸骨圧迫装置の使用を検討する必要があると考えます。
この研究を着想した背景には、ECPR後の出血合併症によりカテーテル塞栓治療が必要となり、CCUのメンバーと共に夜を徹して対応した経験があります。今回の研究にあたり、ご指導・ご協力いただいた先生方に心より御礼申し上げます。
臨床で生まれた疑問を論理的に検証された先生のバイタリティーに敬意を表します。
松島慶央先生、おめでとうございます!