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野原正一郎先生の論文がInternational Journal of CardiologyにPublishされました!

2025.1.14

<タイトル>

Subsequent risk of cancer among adults with peripheral artery disease in the community: The atherosclerosis risk in communities (ARIC) study

 

<雑誌名>

International Journal of Cardiology

 

<論文要旨>

がんと心血管疾患は共通のリスク因子だけでなく、その発症においても共通の分子メカニズムを有することが知られています。近年、心筋梗塞や心不全患者ではがん発症のリスクが高まることが示されていますが、末梢動脈疾患(PAD)に関してはほとんど研究されていません。いくつかの研究でPADにおけるがんリスクの上昇が報告されていますが、先行研究はいずれも喫煙や糖尿病といった重要な交絡因子について調整されておらず、さらに追跡期間も10年未満と短期間です。ARIC研究は米国の4つの州における一般住民約16000人を35年間追跡したコホート研究であり、今回我々はこのARIC研究の参加者を対象にPADとがん発症の独立した関連について検討しました。

本研究では、ベースライン時にがんの既往がなかった13016例を症候性PAD、無症候性PAD(ABI≦0.9)、及び5つのABIカテゴリー(0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3<)に分類しました。結果、約25年間の追跡期間において、症候性PAD、無症候性PAD はいずれも対象群(ABI >1.1-1.2)と比較して、がん罹患と有意な関連が認められ、これらは喫煙および糖尿病を含む交絡因子で調整後も有意に関連していました(HR 1.42 [1.05-1.92]、1.24 [1.05-1.46])。サブグループ解析において、喫煙者ではPADとがん罹患との強い関連が認められましたが(HR 1.42[1.21-1.67])、一方、非喫煙者では認めませんでした。そこで、喫煙者群のみにおいて同様の検討を行いましたが、症候性PAD、無症候性PADはいずれもがん罹患と有意に関連していました。また、癌種別検討ではこれらの結果は肺がんにおいて最も顕著でした。本研究の結果より、日常診療においてPAD患者ではがん発症のリスクを念頭に置き、がん予防とスクリーニングを行うことが重要であり、特に肺癌の発症に注意する必要があると考えます。

<謝辞>

本研究はジョンズ・ホプキンス大学への留学中に立案・実施した研究ですが、帰国後も研究継続の許可を頂き、また最後まで熱心にご指導いただいた共著者のDr. Mok、そして指導教官のDr. Matsushitaに心から感謝を申し上げます。

 

<リンク>

https://www.internationaljournalofcardiology.com/article/S0167-5273(24)01199-9/abstract

 

野原正一郎先生、おめでとうございます!

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