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山路和伯先生の論文がPLOS ONE誌にアクセプトされました!

2024.10.18

<タイトル>

Catheter-Based Examination for Pulmonary Microcirculatory Function in Patients with Pulmonary Hypertension.

<雑誌名>

PLOS ONE

<論文要旨>

肺高血圧症は様々な要因によって肺動脈圧の上昇をきたす疾患群であり、当院でも多くの患者さんの診療を行っています。肺高血圧症の本態は肺動脈性肺高血圧症に見られるような血管リモデリングやvasoconstriction (血管収縮)といった肺微小循環障害で、慢性血栓性肺高血圧症 (CTEPH)や、左心疾患や肺疾患に伴う肺高血圧症においても、二次的に肺微小循環障害をきたすことが知られています。しかしこの肺微小循環障害を生体内で評価する方法は確立していません。

一方で冠動脈領域においては古くから冠微小循環障害の存在が知られていましたが、近年になって再度冠微小循環障害が注目されており、微小循環障害の存在は患者の予後を悪化させ得ることが報告されています。冠微小循環障害は温度センサー付き圧ガイドワイヤーと、血管拡張薬による最大充血反応を利用することで測定することができます。そこで本研究では、このガイドワイヤーを用いて肺微小循環障害を定量的に測定することが可能かどうかを中心に探索的な検証を行いました。

2021年9月から2023年3月の間に肺高血圧症の疑いまたはフォローアップのためにカテーテル検査を行った患者を対象とし、諸条件を満たす19例を登録しました。冠微小循環機能評価の際に用いるアデノシンを使用したところ、肺動脈においても血管拡張反応による流速の増加が確認され、微小循環機能を計測することが可能でした。またその至適容量は冠動脈と同等の150 μg/kg/minであることが分かりました。さらに各種検査パラメータとの相関を調べたところ、PIMR (肺微小循環抵抗指数)はNT-pro BNPや尿酸値と正の相関を認めていました。今回は症例数が限られており限定的な解析となりましたが、今後は予後予測や治療効果判定などに活用できないかと期待しています。

最後に、本研究において御指導いただいた先生方、および御協力いただいたカテ室スタッフの方々に深く御礼申し上げます。

 

山路先生、おめでとうございます!

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